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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2012.11.09
 神楽坂50景/最初に一水寮
01●一水寮。横寺町の路地を入ったところにひっそり立っている。

僕たち一家が1989年から1994年までの5年間ここで長屋暮らしをしていた。年とった大工さん夫婦や一人暮らしのおばさんたちも一緒に暮らしていた。

02●大和田

今日(1998年3月9日)、神楽坂の毘沙門天前の郵便局に行く途中、ふと左手を見たら、うなぎ専門店の大和田の建物が取り壊され始めていた。何回か、ここで食事をしたことがあり、しばらく立ち尽くしていた。神楽坂にずいぶん長い間住んでいたのだが、ここに始めて連れてきてもらったのは、彫刻家の井上武吉先生だったことを思い出していた。井上先生は僕がパリに遊学していた当時、同じ宿舎に住んでいて少なからず影響を与えてくれた。先生は日本に戻ってきて鎌倉に住んでいたのだが、時々、僕のアトリエにやってきて一緒に仕事をしていた。仕事が一段落すると「鈴木君、大和田へうなぎを食べに行こう」とよく誘ってくれた。先生は大和田のうなぎが大好きだったようで、本当においしそうに食べていた。その井上先生が去年の秋に急逝してしまい、そして大和田も「専門店のうなぎ屋の時代は終わったと感じますので初代より70年にわたるうなぎ屋をこれにて幕引といたします」という挨拶を残して神楽坂での舞台からおりてしまった。神楽坂の頑固な風景がまた一つ壊れてしまった。
この大和田を描いたのは1995年10月22日、比較的風の強い日で風に暖簾が揺れていた。
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