FC2ブログ
旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2009.11.14
 99年から立ち上げた神楽坂建築塾☆interview●05
20091114.jpg
アユミギャラリー&鈴木喜一建築計画工房(写真/畑亮)

この2階のアトリエは84年の6月に開設して、その年の秋に1階をアユミギャラリーとして開廊しました。ギャラリーでは、絵画や写真、版画、陶器などさまざまな展覧会を開いています。僕も一年に必ず一度、旅の水彩画展をやっている。
そこで自分が見ているもの、表現しているもの、考えていることを世の中にやわらかく提示していこうと思っている。仕事も旅も僕は自分のやりたいようにやってきた。でも、それが今、社会的にコミットできる自信が少しあるんですよ。好き勝手に生きていればいいやということだけでは物足りない。真剣にまちや建築のこれからのことを考えていきたい。進化が著しいと言われるこの文明社会において僕のような旅的感覚というのは必要なものだとも思っています。日本以外にもいろんな国があって、人がささやかに住んでいて、似たような生活を繰り返しているけれど、それぞれの風土で違う知恵を持った日常文化があるんですよ。
99年から神楽坂建築塾を立ち上げました。高度成長期以降からこれまで、とくに都市部では低い建物を更地にして高層ビルをつくること一辺倒になりすぎていたよね。そのことでまちも森もずいぶん破壊されてしまった。もうこんな方向の中で建築をつくる時代ではないですよ、少しみんなで考えてみようといって始まったのが建築塾なんです。
建物を残していく、修理していく、活用していくということを頭に入れてね、住むことの原点を見つめ直そう、保存とはより質の高い環境をつくり出す一つの方法ではないか、という思いを確かめたかった。20人ほど募集して寺子屋式で講師と塾生が膝をつきあわせて学んでいこうとしたら、全国各地から98 人の応募者があった。建築の仕事に携わる人を中心に現役の学生や主婦、それにこれから家をつくろうという人たちが塾生として集まってきた。うれしかったですね。そこで尊敬する建築評論家で『造景』編集長の平良敬一さんに塾長をお願いしました。
建築塾は月二回の講座で坐学(講義)とフィールドワークを組みあわせてやっています。講師は主に第一線で活躍している僕の仲間の建築家たちに依頼しました。これからの建築の方向性をどう考えるか熱気を含んだ講義が行われているさなかです。理論だけでなくフィールドワークや番外講座にも力を入れています。中国の奥地に民家調査に行ったり、実際に建物の施工に参加したりね。塾のネットワークの中でものづくりが着々と始まっているんですよ。今年度は第四期になりますがテーマは「まちと建築を再生する」ということで講座を進めます。こうした塾の活動も、僕の中で大きなものになっている。神楽坂を拠点としてグローバルにおもしろいことがおこりそうな予感がしているんですよ。

『ニューハウス』2002年5月号●この建築家に会いたい ! ☆17
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック