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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2005.05.12
 一水寮のバラの花が満開です
20050511121503


我が家の勝手口を左に曲がるとなかなか渋い長屋がある。その名を一水寮。野良猫が時々窓から無断で入って遊んでいる。うちの若いスタッフたちも三畳とか四畳半一間に仮住まいをしていて、このご時世に穏やかで不便で豊かな暮らしを営んでいる。
どのように不便かというと、最小限電気容量、すきま風は我が家よりも多く、台所は共同、トイレも共同で一階の隅にあるので道のりは遠い。
では、どのように豊かかというと、今どきこんな仄暗い空間にひっそり隠れ棲むという快感がある。しかも磨けば光る板廊下をぎしぎしさせる風流な貧乏暮らしはなかなかありえない。
実は僕たち一家もこの長屋に5年ほど住んでいた。僕の部屋はやはり3畳で、夏の暑い時は、窓を開けて蚊帳を吊って眠るのが心地よかった。この建物もやはり高橋建築事務所の手によって昭和25年頃につくられた。用途は大工さんの寮として出発したものである。
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●一水寮のリヤカー
リヤカーが一水寮の板壁に立て掛けてある。うーん、こんなところになぜこれが、と誰もがうなる。しかし、これは飾りではない。昔から、横寺町と矢来町間を行ったりきたりするための大事な運搬車なのである。かつての引っ越しもこれを使った。今後、夜逃げする時もこれを使わなければならない。このリヤカーで小学生の息子をのせて神楽坂通りを引っ張ったことがあった。息子が僕をのせて引っ張ったこともあった。見ている人はいるもので、あれはまれにみる美しいシーンだったと言われて、またやってみるかとも思うが、息子はもう大学生になってしまった。
ともあれ、我が家のリヤカーはなかなか存在感のあるものだ。ついつい目があって、今日も行ってくるぞ、とあいさつをする。
コメント
この記事へのコメント
バラすバラしいですね~。
回文にはなりませんでした。思いつきのダジャレでした。    
僕も以前、一水寮に泊めていただいた時、この薔薇いいな~って思いました。ビデオカメラでも撮りました。
2005/05/13(金) 12:37:15 | URL | M.Kanamitsu #-[ 編集]
いい話
一水寮のリヤカー
いい話だー。
2005/05/13(金) 19:49:54 | URL | toki #-[ 編集]
いい写真
一水寮のバラ
いい写真ですねえー。
2005/05/13(金) 21:12:15 | URL | toki #-[ 編集]
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