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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2005.04.01
 大地の家
daichinoie.jpg


PMC出版/1988年1月30日/A5版210頁
本体価格1800円+税
ISBN4-89368-122-2
日本図書館協会選定図書(522-JAL-8804543)
残部僅少

【書評】岳真也(がくしんや/作家)
●人間が本来住むべき家
この本を私は、ある種の感慨と懐かしさとともに読んだ。かつて、私自身訪れたことのある土地の様子が多く描かれているからだ。とりわけインドは四年ほどまえ、一年近く滞在していたところだけに格別である。
 懐かしさ、といえば、「序」に「見たことのない懐かしい風景」ということが書かれている。著者の鈴木喜一氏は、ビルマで初めて見た風景を懐かしく感じたことについて、われわれ人間が「それぞれの年齢に応じて生きてきたという」「個人のレベルではなく」、「人間が生まれて二百万年がたっている」、そのレベルでの記憶を刺激しているのではないか、と語る。それはまた「自然」であり、自然がかたちづくる「風景」でもある、だから逆に、自然の失せた「都市という文明社会」は「見たことはあるけれど懐かしくない風景」におおわれているというのである。
なるほど、と思った。じつは私も初めてインドを訪れ、カルカッタの町並みを眼にしたとき、同じように懐かしいものを感じたのである。私はそれを、ずっと以前に旅したことのあるエジプトの風景と重なるせいか、と考えたり、あるいは自分の住む場所でも日常的に体験する単純な「既知感」かと捉えてもみた。人類二百万年の歴史の流れ、だとか、そこに「自然」があるせいだとまでは思いつかないでいたのである。(1988年「週刊読書人」抄)

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