FC2ブログ
旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2011.05.31
 アドリア海の真珠ドブロブニクへ◎02
たがい++++をたたえあったのもつかの間、今度はパスポートコントロール。一つしかない受付をめざして人の山。喧嘩も始まっている。みんな必死だ。横入りしようものならたいへんだ。押すな押すなの大騒ぎで、とてもリュックを背負ったぼくは入れない。何度も入ろうとして、そのたびに弾き出されてしまう。ぽくらの船の時間はあと十五分。どうなることやらとぼくは汗も拭かずにたちつくす。
何かが遠ざかっていく。乗船できないかもしれないとぼくはその騒ぎを見ながら半ば諦める。しばらくすると、無関係になっていく風景の中心がぼくを呼んでいる。一緒に走ったオーストラリアの青年が、人混みを分けて窓口にたどりついたのだ。パスポートをよこせと合図する。ぼくは思いきって、パスポートと乗船カードを投げる。この一瞬の離れ技を周囲は仕方なく許したようだった。

このオーストラリアの姉弟に助けられて、綱渡りのように旅がはじまった。ともかくこれでユーゴスラビア南部の魅力的な港町ドブロブニクに行けそうだ。