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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2011.03.22
 停電が繰り返されるラサの夜闇の中では犬の遠吠え
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はくもくれん☆20110323

●旅を歌う
東京にいるとたいして仕事をしていないわりには結構あわただしく、いつのまにか自分の時間が細分化されてしまい、絵を描こうとか、写真を撮ろうとか、日記をつけようとか、歌の一つでも詠んでみようかという気にはなかなかなれない。世間並とまではいかなくても、一般的な日常生活に入るのである。(別に嫌だといっているわけではありませんが……)
たとえば中国の火車なんかに乗ると、行けども行けども静かな自分の時間だけで、ぼくが愛用している硬臥(二等寝台)の揺れぐあいはちょうど夢を見るのにもいいし、食べては眠り、車窓を眺めては文庫本を読み、しばらくしてまた眠ってしまうという繰り返しである。相変わらず中国語のわからないぼくは、居合わせた中国人たちとも二言三言の軽い会話でいきづまってしまい、見知らぬ土地の話に耳を傾けるということもできない。
そこで今回は、そのたっぷりとした時間の中で歌でもつくってみようかと悠長なことを思いつき、上海、成都、チベット、カトマンズ、バンコクと続いた一ケ月の旅日記のあちらこちらに、いつしか40首余りの歌がメモされるということになった。何はともあれ、その中から自薦でいくつかの旅の歌を紹介してみよう。

いくつものトンネルくぐり火車はゆく名もなき村を四川の冬を(93.12.20)     
3日目の顔なじみとなる食堂車今日もたのんだ上海啤酒(93.12.20)     
停電が繰り返されるラサの夜闇の中では犬の遠吠え(93.12.22)          
病み上がりゆっくり歩いて大昭寺色は凍れど気にもせず描く(93.12.24)      
今日もまた酸素袋の世話になりポタラも見ずにラサホテル(93.12.25)        
去年今年異国の空で迎えたりチャンパで作るお供えの餅(93.12.31)        
読経を唱えて並ぶ信者たちポタラ詣での人限りなく(93.1.3)           
ろうそくとマキストーブの火の中でチャンを飲みつつ旅の話か(93.1.6)   
降るような星の世界は満天に西蔵の空寒々と冷え(93.1.7)           
トラックはチベット高原ひた走る15時間のヒマラヤドライブ(93.1.8)      
チベットのハードな冬のそのあとはタメルでやわなツーリストとなり(93.1.12)  
雨上がりからりと晴れたカトマンズゲストハウスでモーニングカフェ(93.1.13)  
快適さという誘惑身にしみるオベロイホテル旅に疲れて(93.1.15)
         
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