FC2ブログ
旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2010.09.20
 ……たまった韓国の旅日記を読み返している。
moblog_96df58d6.jpg
忠武(CHUNGMU)

忠武港
三千浦

……たまった韓国の旅日記を読み返している。
韓国南部の港町をここ4年ほど歩き回っている。冬ばかり……。すっかりなじんだ、とまではいかないけれど、たどるたびに親しくなる道のようでもある。訪れた主なところをあげれば、釜山(BUSAN)、忠武(CHUNGMU)、三千浦(SAMCHEONPO)、 浦項(POHAN)、麗水(YOSU)、といったった多島海沿いの港町が多い。地図によれば、慶尚道および全羅南道といった地域である。移動手段のメインはバスだが、快速水中翼船エンジェル号もよく使った。これで閑麗水道と呼ばれている美しい海岸線や無数の島々を見ながら、この海には忘れてはならない侵略の歴史の数々も深く沈められているのだなと思いつつ、今は何事もなかったように穏やかな海上を流れるように走っていく。
木浦(MOKPO)から韓国西南端の離島、黄海に浮かぶ紅島(HONDO)という奇岩の島に行ったこともあった。草青色の海が荒れに荒れてその小さな島に元旦から3日間、しっかりとじ込められたことがある。外は厳寒な上、海のほかには見るべきところもないので、日がな一日、民宿のオンドルパンに敷いた温かい布団にもぐって、下関の古本屋で買った本を読みながら、時々、ウトウトと眠っていた。というような情景は、ぼくの旅の中でよくあるシーンの一コマなのである。
韓国への旅は、夕暮れ時の関釜フェリーに乗るまでの余剰時間を使って、下関の町をゆっくり散歩することから始めている。町を歩いていて必ず行ってしまう場所は、竹崎町3丁目の長門市場、リュックを背負ったまま何度も行ったり来たりしている。その先の古書館専門店『ころんぶす』という古本屋、ここでは長居をして旅の中で読む一冊の本を買う。ぐるっと町を回って『ベレー』という渋い喫茶店に立ち寄りコーヒーを飲む。年の暮れも押し迫った下関には、なぜかいつも冷たい雨がかすかに降っている。


スポンサーサイト