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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2010.05.19
 71●旅のストーリーを成立させる
僕は必ずこのバッグ、これは5~6年使っていますが、これで行くんですよね。乱暴に使っているので時々破けるからこういうふうにね、糸で自分で縫ったりしている。ここにスケッチブックが入って、どこへ行くにも、このバックだけは必ず持って絵を描くんだけれど、タイでも何回かスケッチをしていて、そのスケッチにまつわる話がある。
例えば、少数民族の話をさっきしたけれど、メオ族とかアカ族とか、そういう小さなビレッジに行くのに、5~6人で木のベンチに座れるライトバンを加工したみたいな乗り合い自動車、それに乗って連なき道をガタゴトガタゴトと、メオの部落に行く。そこで当然、絵を描くんですね。その村落は、草葺きのプリミティブな家だから、面白いですよ。僕は興奮してしまう。屋根はチークの葉っぱだったり、藁だったり、そのへんの木を骨に使ってできている。だから、そんなアノニマスでバナキュラーな風景をスケッチする。すると子供たちが変な外国人がいるというのでバーッと寄って来るわけだよね、ワーッと囲まれてさ、絵の具はいたずらする、話かける、ひどいんだよね。子供だからキャッキャッやっている。そうした時の対応は、僕のスケッチをしながらの一つの楽しみなんですね。それをどう裁いていくかというのか、どう道筋をつけていくのか。
これはスケッチの話なんだけど、これは旅そのものと全く同じ。ある種のパニックに会うでしょ。パニックを全部吸収して、それを解きほぐして、どう旅のストーリーを成立させてしまうかっていうの、あるじゃない。状況を楽しむんです。楽しむことが最良の方法なんです。
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