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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2010.04.09
 69●あてどなく地球を歩く
異国をふらふらしているとよくあることなんだけれど、なんかどこかで見たような人だなあ、なんて思うことがある。向こうもこっちの顔を見て、怪訝そうな顔をしている。すると「鈴木先生ですか」と言うから
「そうだけれど、どっかで見たよね」
「土井です」
「ああ、そういえば土井君かあ」
5年ぶりぐらいだったのかな。タイで会った時、目が全然輝いていてすごくいい顔していたからわからなかった。髪もかなり長くなっている。学校で教えていた時は目がくもっていて、本当の不良だったんだけれど、スカッとした不良になっている。(笑)
どこから来たんだようって肩を叩いて聞いたら、インドに3ヶ月いて、それからコサムイというタイの小さな南の島に行って、ちょうどバンコクに戻ってきたところです、と言っていた。バンコクはゴチャゴチャしていて好き、嫌いは人によりますね、なんて言う。彼の話をひとしきり聞いたりして、そうするとやっぱり学校では……、何か君、学校では全然ダメだったけれど、本当に良くなっているね、と僕は言った。
インドあたりをうろうろと旅すると、やっばりこうなるのかという感じがあって、それは彼がそうだったというんじゃなくて、君らも、たぶんそうなるんだな。学校で1年間、2年間こうやっていても、いくらしっかり僕の授業聞いてくれてもね、ダメなのね。例えば3ヶ月ぐらい一人でいろんなことに出会ったり、あてどなく地球を歩くことによって、全ての勉強を全身で受け止めることになる。もちろん場所にもよるし、どんな体験をしたかっていうことがもちろんあるけれど、総じてほとんど間違いないんじゃないかな、僕の感覚でいくとね。土井君には失礼だけれど、彼を見ていたら、誰でも大丈夫。勇気を持って自分自身で世界性を持つことだね。
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