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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2010.01.12
 55●一つの夢
通信のことで言えば、僕は大きなひとつの夢を持っている。村松貞次郎先生の『日本近代建築の歴史』のテキストは、もう10年も使っているんですね。村松先生は僕の高校の先輩だから、あのテキストを使うというのはとてもいいことなんだけれど、そろそろ、僕自身が書きたいと思っている。
それをね、僕は、僕流にやりたい。どういうことかというと、みなさんに今、スケッチをすすめていますね。課題として全国からいろんなスケッチが集まってくる。コピーは、いただいているんですが、原画は返しています。僕も原画は大切にしていますから、原画はみなさんに返却しています。原画は送らなくていいですよ。自分で保管しておいて、コピーか写真を撮って送ってください。どうしても見たくなったら、原画を見に行きます。(笑)話が逸れましたね。それでね、僕のところに、北海道から沖縄まで、いろんな建築や町並みのスケッチが集まってくるんです。何がどこに、どんな建物があるかっていうのが概ねわかってくる。
もうひとつ、あまり有名じゃない建築っていうのが僕は好きなんだな。建築史だからといって、建築史の教科書に出ている建築物だけを描いてください、とは言っていない。むしろ、そういったところから少しズレたような位置で、さりげなくいい建築、というのがたくさん隠れている。そのことが実は『日本近代建築の歴史』には書いてあるんです。近代合理主義建築から外れたところで、息も絶え絶えに、でもしぶとく、しっかり生きて、使われている建築、そういう建築に僕の気持ちは動いていく。建築を好きな人はそれが当たり前ではないかと僕は思うんですね。みなさんは、そこまで到達するはずだと思っています。到達というと大袈裟だけど、とにかく、あの教科書を読んで、建築を好きになって、、、日本の建築の現在は、そんな状況ではないというか、町並みもほとんどない、という言い方もあるけれど、でも、ちょっと裏道に入ったりとか、じっくり観察してみると、時代を超えて、いい建築はまだあるんですよね、だから、ぜひそれを発見して欲しい。何も名建築だけを描かなくてもいい。自分の記憶に残ってる想い出の建物とか、工事が始まりそうで壊れそうないい建物とか。そういった無名の建物もぜひ描きとめていっておいて欲しい。
要するに、そういうことも含めて、僕は通信のテキストを書きたい。それも、文章はもちろん書きますけども、スケッチと文章で、つまり体で書いてみたいなと思っている。それも僕だけじゃなくって、みなさんと一緒にテキストをつくりたいという夢を描いています。

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