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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2009.12.07
 44●土が絵と符合してある
それで、湖水に手を入れながらしばらく感じている。その水を、このスケッチの湖面に落とす、なんてことをしてみる。このポカラの水をフィルムケースの中に入れてもらってくる。
少し面白いことを企てて、絵を30枚近く描いて、甲子園の土じゃないけれど、絵を描いた場所の足元の土を、空になったフィルムケースに入れて持ち帰った。湖の上で描いた時は、土がないから湖水をもらってきたということ。
フィルムの空箱には、絵を描いた場所の土とか水とかね、嵐の時に描いた絵は嵐のドロドロの水。岩場で描いた時は小さな石片が入っている。
そういった土が絵と符合してあるわけなんだけれど、実は検疫でひっかかっちゃって、ほとんどは失われてしまった。僕は少し遅れて帰国したから先発隊で帰った友人に簡単な荷物を預けていた。その中に重要な土が入っている。そしたら彼は検疫に捕まって2時間くらい締め上げられてね。(笑)黒っぽいからハッシッシと間違えられたらしくて、顕微鏡か何かで覗かれて、もう大変な目にあったよって。ただの土なのに、とか言われてしまった。そんな土の採集をしていたりした。
ネパールの「収穫」というのはとても難しいんだけれど、雨とか風とか樹木とか鳥とか音楽……、時間とか心とか、物質世界の彼岸にあるものがどっさりと、あった。僕は幻っていう言葉、わりと好きなんだけれど、幻のような現実があった。
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