FC2ブログ
旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2009.12.05
 41●ロッジのオバチャン
いくつぐらいのSが出ている? 8個? もっとあったなあ‥‥‥。
配布したプリントの、人間、というところに書いてある STILL、静かな、というのもわりと好きだな。いろいろなSを集めて僕は《S作戦》と呼んでいる。ダメなSもずいぶんあるんだけれどね。いいSが見つかったら教えてくれますか。余談になりましたけど、Express SSS というのは、そういう意味です。
それで、君らに渡したこのポカラ報告書ってのは、現場で思いつくまま書いたものだから、短絡的だけれど、ちょっと読んでみる。
「もう一つの現実に耳を傾ける」……タイムカプセルに乗ってもう一つの現実にたどりついた、そういうことかな。ポカラに、ペア・タルっていう気持ちのいい湖があって、ラムジイという19歳の青年に舟を漕いでもらいながら、スケッチをしながら、、、考えると、ネパールの人間は、誠実でやさしくてたくましい、これは完璧である。あとサクリファイス、献身とか尊重とか、そういうことを知ってる。ネパールの魂っていうのは、……真実の真、芯棒の芯、そしてナチュラル。
●「人間の生活の疎外」、現代都市社会は人間の生活がどんどん疎外されていく方向にあるが、ネパールに行き、その空気を吸っていると、それが治癒されるなあ……という感じがあった。
●右側の方にいって、STILL LIFE、静かな生活がある。彼らはヒマラヤの空と話しをしながら生きている。何か悲しい時とか、苦しいことがあったら、たぶん空と話をしてるんじゃないか。川も流れている。同じように、いろんなことを川と話をして生きているんじゃないかな。そこにはいろんなものが沈んでいて、いろんな時代も、いろんなストーリーも流れているな、というような。
●その上に、出会いと別れって書いてあるな。リバーサイド・ビューのオバチャンって書いてある。それは、僕が泊まったビレタンティーという村のロッジのオバチャンなんだ。彼女と出会った……。オバチャンは、ネパールのタカリ族っていう人種で、非常に誠実な感じの習慣をもった民族なの。そのロッジに、二日間、泊まった。別れる時にオバチャンはいい顔してね‥‥‥。その時の一瞬っていうのは、彼女は僕の目をじっと見る、僕はこうやって手をさし出す、すると、その手を彼女はやわらかく両手でこう包む。それだけ。その一瞬にすべてが伝わる感じがあった。川は絶えず流れていて、僕らはまた別の村にトレッキングに出掛ける。二日間いた村を去って行くというシーン。握手をしたオバチャンが、いつまでも川の向こうから手を振っている……、そういう情景があった。
スポンサーサイト