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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2009.12.04
 39●動かない映画
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(アトリエで/左・カズ)

僕は一点に座って、じっと見ている。この舞台、、、川といい、その村の素朴な佇まいといい、人間といい、なんかもう動かない映画をじっと鑑賞しているようだった。吊り橋があって、その土地の衣装を着ている人たちが草を籠にいっぱい入れて行ったり来たりしている。薪を背負っている女がいる、少年少女たちがゆく、動物たちもゆく、そういった風景を日がな眺めている。すごい映画を見ているな、という感覚、いや映画じゃなくて、これはまさしく現実であるということ。
200年、いや300年前にも匹敵する、幻のような現実を見たような気もするんです。僕らの日本の社会というのは、ある意味で、完全に物質世界の中で、計量化された、つまり、コマ切れの社会システムの中で生きていかなくちゃいけない。僕もまた、そういう現実に戻って悩まなくっちゃいけない。でもネパールのあの小さな村々で生きている人たちの世界っていうのは、僕らの世界とはちょっと違う。
僕らの生きている向こう側にある、何て言ったらいいのかな、人間として最も大切なもの、精神といったらいいのか、魂といったらいいのか、そういったものがちゃんと心の中に、身体の中に入っている。だから、彼らがいい表情をするんだろう。それを僕はちゃんと見せてもらったなっていう気がしている。
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