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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2009.12.03
 38●カッチャン(ラバ)
二階の屋根に僕はいつも座って、日向ぼっこしながら絵を描いたりですね、川の音を聞きながら往来を眺めていた。ビレタンティ村は、インドからチベットに抜ける道、チベットから中国に抜ける道につながっていて、シルクロードではないんだけど、ソルトロード、塩の道、つまり、シルクロードの支流なんですね。そういう交易の村なんです。朝起きると、ガランゴロン、ガランゴロンという音が聞こえる。これがいい音なんです。川が流れる音ではない。なんだろうと思っていると、カッチャンという動物らしいんだな、ロバと馬の合いの子。それが何頭も繋がれて往来を行くんです。ガランゴロン、ガランゴロンとキャラバンがゆっくりと行く。馬方たちはもっと奥の村から、ポカラの町にいろんな穀物とか物資とか、電気がないからケロシンですかね、灯油のような油を買いに、カッチャンを7~8頭連れて旅をする。そのカッチャンのリーダーにはちょっとした飾りがあって、低音のいい音のする鈴をつけている。ガランゴロン、ガランゴロンと馬方とともに行く。そういう風景をずっと眺めていた。
僕は以前、自分の仕事で江戸時代の馬宿を福島県の南会津に復原したことがあるんです。馬宿というのは馬も泊まれる民宿のこと。江戸時代の馬方、今でいう宅配便業者ですね、馬の背に載せていろんな物資を輸送した時代があったんです。まさしくその馬宿の、馬方の世界。馬の背にね、ネパールではカッチャンですけど、カッチャンの背に荷を積んで、ポカラの町まで何日もかけて、たぶん3日から4日かけて行くんだと思いますけれど。そういう馬方やカッチャンが泊まれる宿がもちろんある。馬を繋いでおく宿が。ああ、これはまさしくあの江戸時代だなって思って僕は観ていた。
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