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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2009.09.30
 武蔵野美術大学近代文明論☆06●すべてがある場所
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かたぬき☆かたぬき2005☆かたぬき
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●すべてがある場所
その島に行った時にね、ゴールデンウィークだから島は混んでるだろうってみんな思うかもしれないけれど、その島は全く混んでいなかった。船着き場の人にどんなとこですかって聞いたら、何にもないところだって言うわけね、何もない場所……。何もない場所という答えはわりと気に入ってる。なにもないとこ、ふーん、と言ってみる。民宿が一軒だけある。じゃあ、大丈夫。何もない場所で泊まる所がある、もう絶対大丈夫だっていうのが僕の気持ちの中に生まれる。
歩いてみる。本当に何にもない。家が10軒ぐらい。もちろん、食堂もなければ喫茶店もない。駄菓子屋さんもなければ酒屋もない。民宿を訪ねてみる。表札を見て、あっ、ここだな、なんて言いながら、「民宿ですか」って聞いてみると、「うちじゃないよ、民宿はあっち」という答え。「でも表札が」って言うと「この村はみんな同じ洲本姓なんですよ」「ああ、そうですか」って感心しながらながら民宿に行った。そういうところ、まだ日本にもいっぱいあると思うけれど。
たったひとつ自動販売機が船着場にあった。缶コーヒーくらい飲みたいな、と思って単純に喜ぶ。そうすると《故障中》の札がかかっている。3日ほどいたんだけれど直す気配が全くない。あれはずっと故障中だろうって思ってるんだけれど、つまり、自動販売機も機能してない。困った、というよりも、これはおもしろい、と思った。僕は、そんな場所にいた。要するに何もないところなんだけれど、すべてがあるという場所を感じていた。

武蔵野美術大学近代文明論☆05●時間どろぼう
武蔵野美術大学近代文明論☆04●小さな島に
武蔵野美術大学近代文明論☆03
武蔵野美術大学近代文明論☆02
武蔵野美術大学近代文明論☆01