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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2009.02.13
 習志野の家(1999、2004)
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生活を聞き取る

★試論「人間の記述」の意味。
……家に生きてきた人の歴史をたどること。
改修工事で大切なことは、家の中で生きてきたすべてのものを思い、未来を想うことまで…、記述することである。

03●習志野の家(1999、2004)

工房所員であった僕が、千葉県習志野市の自宅を改修した工事(第1期・1999年)と、独立後の(第2期・2004年)の報告である。
古くなった家を取り壊すか、再生(リフォーム)するか。その判断基準はどこにおくべきだろうか。住宅地に立つ、築37年の平屋住宅。太い柱の立派な民家にはほど遠い。第三者の目にはただの「不良ストック」かもしれない「普通の家」であっても、住む者にとってはかけがえのない家。思い出と愛着があれば、それだけで「繕い、住み継ぐ」価値がある。
自ら育った家を二度に渡り改修し、更にその思いは強くなった。そして自在に改変できる柔軟性を持った在来構法のしなやかさへの驚きも。家族の夢を注ぎ込みセルフビルドを取り入れて楽しく再生を続ける。
壁を壊し、柱を抜き、一部にロフト収納を設ける。こんなことが自在にできるのも、柱と梁で構成された木造在来軸組構法だからである。梁のバランスの良い耐力壁の再配置、接合部の補強など、慎重に検討すべきことは多いが、それでも「たいていのこと」はできてしまう。内部だけではない。外壁の一部に穴をあけ、外に増殖させることも簡単だ。材木同士は接着剤やボルトではなく、凸凹を基本とした「仕口・継ぎ手」のシステムでつながれているから外したり嵌めたりもやりやすい。
家には「中心」が必要、と直径1350mmの円形テーブルを設置。キッチンを含めて家具製作一式を信州・高遠の家具工房「木のすず」に依頼した。ナラやクリなどを地元の原木市で丸太で購入し、乾燥させて組み上げる。全体のプロセスが見通せるということは、現代の建築生産システムの中にあっては貴重である。(渡邉義孝)
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