
しこを踏む喜一山
2008年納めの岡山旅大学場所3番戦
第一戦☆<喜一山○上手出し投げ●影乃山>
画像が途中からだが、喜一山体を開いて上手出し投げを打てば、影乃山たまらずダイビングよろしく土俵に腹這う。電光石火の極め技が光る。初戦は4秒で決着。
このままでは短すぎる解説なので補足すると、「上手出し投げ(うわてだしなげ)とは、相撲の決まり手のひとつ。上手で相手の褌を取り、褌を取らないほうの足を引いて、相手を引きずるように自分の前方に投げる技」
この技は相手を地面に這わせて直接勝負を決めるために使われることもあれば、相手を引き摺って後ろを取ったり、あるいは廻しを切るなどして自分の有利な体勢に持ち込むために使われることもある。いずれにせよ、技能を兼ね備えた力士が多用する奥の深い技である。
第二戦☆<喜一山○外掛け●影乃山>
雪辱を期す影乃山。受けて立つ喜一山。喜一珍しく低く立つ。喜一、左手でがっちりマワシを掴みその握力で影乃山の体を浮かし気味に左へ振る。影はそうはさせじと左足を軸にして反対方向へ逃げながら喜一の頭を押え付け、あわよくば突き落としも狙いながら回り込む。守勢に回った影は喜一に引き付けられて腰が伸び反り身ゆえ左足に重心が移る。喜一の最も望む位置、目の前にその足が来た瞬間を見逃すはずはない。喜一にすれば筋書き通りの外掛けを放って仕留めた。僅か13秒程の攻防の中に喜一の前さばき、手さばき、体さばきの妙が見応えのある一番だった。
第三戦☆<喜一山○寄り切り●大野川>
腰が重く、力も強い若手の代表大野川。両者浅く立ち頭を付け合う体勢から勝負が始まる。そのまま互いの出方の探り合いが続き、間合いが遠く技は出せない。スタミナ十分の大野が先に動き、両者が腰を落とした遠い位置から左足を繰り出し喜一の左足首を内側からチョン掛け風に刈れば意表を衝かれた喜一グラつくもこらえる。技で駄目なら力でと喜一を持ち上げ振り回す場面では体が宙に浮き一瞬ヒヤリ。再度また頭の付け合いになるが戦法を変えたか喜一、上から大野の体を押しつぶしにかかり、遂には右の脇下に大野の首を抱え込む「ネックブリーカー」の形。はずみでそうなったのか、意図してそういう体勢に持ち込んだかは定かでないが、これでは苦しい大野山。もがきつつ抵抗を試み土俵を暴れ回るも甲斐なくズルズルと押されて土俵際に後退。頃はよしと見たか喜一、大野の首を離しながらダメ押しで体ごとガブリ寄れば若さの大野も抗うすべなく寄り切られてギブアップ。1分を超す長い相撲をじっくり料理した喜一のしぶとさで決着が着いた。スタミナのロスもさほど感じられない。
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