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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2008.11.26
 01●哈爾濱(ハルピン) / 晩秋
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●哈爾濱(ハルピン) / 晩秋
1993年11月15日、北の町。
晩秋のハルピンは夕方4時になるともう暗くなってくる。おまけに痛いように冷たい。ぼくの身なりはと言えば、ズボン下を2枚(1枚は毛糸のもの)、ズボンが2枚、靴下も2枚、靴の中にはホカロンを入れている。上着の方は、やはり厚い下着を2枚、その上にトレーナー、シャツ、セーター、ジャケットという格好で、はっきりいって着膨れ、リュックの中の衣類は全部着込んでみました、という状態である。
午後3時58分、この時間で零下8度から10度ぐらいだろうか。露店のイスを借り、覚悟を決めて、あかりが灯され始めた中央大街を猛烈なスピードでスケッチする。歩き回った一日は、どうしても一枚の絵が描きたい。どんな厳しい状況下でも、その一日を絵の中にに封じ込めたいと切に思う。冬にさしかかったぼくの旅は、言ってみればスケッチ巡業なのである。
着彩を始めると画面がたちまち凍ってしまう。たっぷり水をつけて素早く塗るのだが、少しもたついているとジャリジャリとシャーベット状になってしまう。それでも必死に描き続ける。……だが、細部はとても描けない。自然(冷気)が画面を省略する。
4時34分、終了と同時に手が硬直している。描きあがった画面にはステンドグラスのように氷の幕ができている。
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