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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2007.08.27
 悠久のナイルの生活
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カイロ駅から、たて揺れ、横揺れの激しい二等列車に身を投じ、ルクソール、アスワン、アブ・シンベルへと旅することになった。列車がプラットホームに姿をあらわすと、今までのんびりと座りこんでいたエジプト人が無秩序に車内をめざし、二日前に予約していた座席はあっという間に占領されてしまった。混雑した車内を、リュックサックとバックを手に苦闘しながら、やっと木のベンチの片隅を確保し、長い旅にそなえることになった。座りながらただ呆れて、何か確かなものが崩れ落ちた時のような爽快感さえ感じて、小さく笑っていた。この列車の風景を何と表現したらいいのだろうか。通路は濁水で汚れている。バケツを叩くような金属音を鳴らして、チャイ(紅茶) やコーラ売りの男たちがわめき散らしていく。車輪の軋轢、アラブの音楽。喧噪と、まんえんするほこりの中で、対座した若いイギリス人の旅行者は、頭からすっぽりとコートをかぶってしまっている。私は二台のカメラの入ったバッグを、振動とほこりから守るべく膝の上に抱えながら、 眠ることの不可能に近い夜を南下していった。
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