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旅する建築家
鈴木喜一の

大地の家
2007.01.01
 from Andaman Islands
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南の島からの手紙(from Andaman Islands)
久しぶりにスズキさんから便りが届いて、シャングリラへの旅が一区切りつきそうだから、ひとつおもしろい挨拶をしてくれないかと言ってきた。質問も受けつけるよ、だって。びっくりしてしまうよ。いつもこんなふうに唐突にとんでもない話をもちかけてくる。
ぼくたちの島が紹介されていた本がいきなり送られてきた時も、ほんとうにびっくりしてしまった。漁師たちに見せたらおどろくやら、うれしがるやら、たいへんな騒ぎになって本の奪いあいになったほどなんだ。
おもしろい挨拶をしてくれたら、おみやげを持ってまた島に遊びに行くよとスズキさんは言う。きっとにっこり笑って悪い取引じゃないだろっていう目をしていそうだな。
スズキさんがこの島に来たのは2年前のことだった。正確に言うと、わざわざこの島に来たわけじゃなくて、一目でぼくたちの島が気にいって船から飛び降りてしまったということらしい。ちょっと立ち寄るだけのつもりだったというけれど、船は5日後にしか来ないから、ぼくたちは空いている小屋を見つけて、ガラクタを片付けて、掃除をして、土間に水を撒いたりしたんだ。スズキさんはさしてあわてる様子もなく、楽しそうにゴザを敷いたり、蚊帳を吊ったり、石を拾ってきてカマドを作ったりしていた。
スズキさんはずいぶん旅をする人だったから、ぼくたちはいつも海の風に吹かれながら車座になって、いろんな国の話を聞いたんだ。砂浜に世界地図を描いてもらったりしてね。その代わり、ぼくたちはマンタを捕った漁師を紹介したり、島のオサにひきあわせたり、祈祷音楽を聴かせたりした。
スズキさんはよくS作戦とかいって、シャングリラの話をしていた。S作戦のSはSECRETのSだから、ちょっとまずいんだけれどなんて言いながらさ。シャングリラというのは、梵語(サンスクリット語)に由来しているらしく、簡単に言えば地上の牧歌的な楽園のことらしい。この島は完璧にシャングリラなんだよって言っていた。
つまりシャングリラを訪ねてスズキさんは旅を続けているのだけれど、道に迷えば迷うほどシャングリラに出会える確率は高いんだとも話していた。だからこの島にもわざと旅に迷うつもりで降りたのかもしれないね
。一緒にいたのはたった5日間だけだったから、じつはまだまだ聞きたいことがいっぱいあったんだ。スズキさんはわりと無口なんだけれど、うまく棒でつついてやるとどんどん話がでてくるタイプだから、このへんでぼくの挨拶はおしまいにして、いくつかの質問を箇条書きにして送ることにします。
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